2026年7月17日、皇室典範が改正されました。
女性皇族は、結婚しても皇族の身分を離れないことになります。

これまでは、一般男性と結婚した女性皇族は皇室を離れる決まりでしたよね。
では、結婚後も皇族でいるって、どういうことなのでしょうか?
- 配偶者やお子様は、皇族になるの?
- ご公務やお仕事は、どうなるの?
- 皇族費は、いくらになるの?
- 気になることが、たくさんありますよね。
実は——ヨーロッパの王室では、結婚後も王族でい続けるのが当たり前なのです。
イギリス、オランダ、ベルギー、スペイン、スウェーデン、ノルウェー、デンマーク、ルクセンブルク、モナコ。
9か国すべてで、女性王族は結婚しても王女のままでした。
つまり海外には、すでに何十年分もの「答え」が積み重なっているということですね。
本記事では、ヨーロッパ9か国の王室を1つずつ調査していきます。
■ ヨーロッパ9か国の女性王族はどうなっている?
- イギリス|結婚後も称号と王位継承権を失わない
- オランダ|「残る」か「離れる」かを本人が選べる
- ベルギー|称号なしで王位継承権を持つ子が誕生
- スペイン|女性が継承順位1位でも残る「男子優先」の壁
- スウェーデン|夫は称号を受け取らず、働き続けている
- ノルウェー・デンマーク・ルクセンブルク・モナコ|小国と北欧が選んだ道
■ 日本の皇室と比べると?
- 海外王室に共通する「3つの線引き」
- 2026年の皇室典範改正で、何が決まって何が残ったのか
イギリス、オランダの制度について調査しました。
イギリスもオランダも、日本の皇室と縁の深い国です。
両国の制度と日本との違いについて、詳しく調べていきましょう。


結婚後の女性王族の身分<イギリス王室>


バッキンガム宮殿のバルコニーに集まった英国王室のメンバー
https://www.cnn.co.jp/photo/35120569-2.html
イギリス王室では、女性は結婚した後も王族の身分を保持できます。
女性王族は公務を続けたり、称号を持つのが一般的です。
日本では長らく「結婚によって皇室を離脱する」決まりでしたから、根本的に異なる考え方でした。
その日本も2026年7月に皇室典範が改正され、女性皇族は結婚後も皇族の身分を保持することになっています。



だからこそ今、先を行くイギリスの仕組みを知っておく意味があるのですね。
イギリスの女性王族は結婚しても称号と王位継承権を失わない
イギリス王室公式サイトが公開している王位継承順位を見ると、結婚後の女性王族もそのまま名前が載っています。
| お名前 | ご結婚 | 現在の王位継承順位 |
|---|---|---|
| ベアトリス王女 | 2020年(エドアルド・マペッリ・モッツィ氏) | 第9位 |
| ユージェニー王女 | 2018年(ジャック・ブルックスバンク氏) | 第12位 |
| アン王女(プリンセス・ロイヤル) | 1973年・1992年(再婚) | 第19位 |
※2026年8月時点/出典:The Royal Family 公式サイト「Succession」https://www.royal.uk/succession
結婚しても順位が下がることも、リストから消えることもありません。
日本の場合、そもそも女性皇族に皇位継承権がありません。
2026年の改正でも皇位継承のルールは変わっていないので、ここは今も大きな違いのままです。
夫や子どもに王族の称号は与えられない|1917年の勅許状というルール


出典:Marie claire
https://marieclairejapon.com/celebrity/163534/
一般男性と結婚した場合、夫に王族の称号は与えられません。
理由は、1917年にジョージ5世が出した勅許状(Letters Patent)にあります。
王子・王女(HRH)の称号が自動的に与えられるのは、
①君主の子ども
②君主の男系の孫
③プリンス・オブ・ウェールズの長男の子ども
――に限られる
2012年にエリザベス女王がこの③の範囲を広げ、当時のウィリアム王子のお子様全員が王子・王女になれるようにしました。
つまり、父親が一般人であれば、子どもも一般人ということですね。



王子・王女の身分はなくても、王位継承権はあるそうですよ!
| お名前 | ご本人の身分 | 夫の称号 | お子様の身分 |
|---|---|---|---|
| アン王女 (チャールズ国王の妹) | 最初の結婚時も再婚時も王族の身分を保持 | 爵位なし (1度目の夫は爵位を辞退) | 王族の身分なし (王位継承権はあり/第20位・第23位) |
| ベアトリス王女 (チャールズ国王の姪) | 王女の称号を保持 | 夫エドアルド氏はイタリア貴族の血を引く イギリスの称号はなし | イギリス王族の身分なし(継承権はあり) 娘たちはイタリアの伯爵令嬢の称号を受け継ぐ権利がある |
| ユージェニー王女 (ベアトリス王女の妹) | 王女の称号を保持 | 称号なし | 王族の身分なし(継承権はあり) |
出典:Marie Claire「結婚後も王族の身分を保持する女性王族」https://marieclairejapon.com/celebrity/163534/madame
出典:FIGARO.jp「ベアトリス王女の娘が継承する、意外な称号って?」https://madamefigaro.jp/culture/211001-title-of-daughter-of-princess-beatrice/
称号を失っても王位継承権は残る|アンドルー元王子のケース


ベアトリス王女と夫エドアルド氏の結婚式
25ヴァンサンカン
https://www.25ans.jp/wedding/celeb/a33415018/edoardo-mapelli-mozzi-wedphoto-200726-lift/
「身分」と「王位継承権」が別モノだとよくわかる出来事が、最近ありました。
2025年、チャールズ国王が弟のアンドルー王子から「王子」の称号とHRH(殿下)の敬称を取り上げ、ウィンザーの邸宅からの退去も求めたのです。
現在は「アンドルー・マウントバッテン=ウィンザー」という一般人の名前になっています。
ところが――
- アンドルー氏の王位継承権はそのまま残っている(継承順位は法律で定まっているため、変えるには議会の法改正が必要)
- 娘のベアトリス王女・ユージェニー王女は、王女の称号を保持したまま
称号は君主の判断で動かせても、継承権は法律マター。



イギリスでは、この2つがきっちり切り分けられているんですね。
ちなみに日本の改正皇室典範では、女性皇族の配偶者とお子様に身分も皇位継承資格も与えないという形が選ばれました。
「称号」と「継承権」を切り分けるイギリスとは、また違う考え方といえます。
出典:CNN.co.jp「英国王、アンドルー王子の称号剥奪へ 邸宅から立ち退きも」https://www.cnn.co.jp/world/35239910.html
「ワーキングロイヤル」と「ノンワーキングロイヤル」の違い


ベアトリス王女とユージェニー女王
出典:ELLE
https://www.elle.com/jp/culture/celebgossip/g60352143/princesses-beatrice-and-eugenie-very-upset-over-royal-duties-snub-240401/
イギリス王室には、公務のみに取り組む「ワーキングロイヤル」と、民間企業で働きながら公務を行う王族がいます。
王位継承順位が高く、公務に頻繁に出席する王族が「ワーキングロイヤル」と呼ばれます。
| ワーキングロイヤル | ノンワーキングロイヤル | |
|---|---|---|
| お仕事 | 公務が本業 | 民間企業などで働きながら、限られた行事に参加 |
| 公費 | 公務経費や警備費が国費(国王助成金など)から支出される | 公務経費・警備の公費負担は原則なし |
| 出席する行事 | 年間を通じて多数 | 国王生誕祭、戴冠式など限られた王室行事 |
| 該当する女性王族の例 | アン王女、キャサリン皇太子妃 など | ベアトリス王女、ユージェニー王女 |
出典:ELLE「ベアトリス王女とユージェニー王女、王室の“公務外し”に不満」https://www.elle.com/jp/culture/celebgossip/g60352143/princesses-beatrice-and-eugenie-very-upset-over-royal-duties-snub-240401/
では、ノンワーキングロイヤルのお2人は実際にどんなお仕事をされているのでしょうか。
| お名前 | 勤務先・お仕事 | 働き方 |
|---|---|---|
| ベアトリス王女 | AI企業「Afiniti(アフィニティ)」 2016年〜2025年:副社長(パートナーシップ・戦略担当) 2025年6月〜:戦略アドバイザー 2025年:ソフトウェア企業「Purpose Economy Intelligence」を共同設立(※1) | ビジネスのキャリアと、チャリティ団体のパトロン活動を両立 |
| ユージェニー王女 | 現代アートギャラリー「Hauser & Wirth(ハウザー・アンド・ワース)」 2015年:アソシエイトディレクター 2017年〜:ディレクターに昇進 | ギャラリーで働きながら、限定的に公の場へ。王室費(プリヴィ・パース)からの手当は受け取っていない |
※1 Afinitiは2024年9月に債務再編(リストラクチャリング)手続きに入り、2025年2月に新CEOが就任するなど、近年経営状況に変化がありました。企業の状況は今後も変わる可能性があります。
ベアトリス王女は、AI・データ分析の最前線でキャリアを積みながら、公務にも取り組まれています。
妹のユージェニー王女は、アートの世界でディレクターを務めながら、限定的に公の場に姿を現す働き方です。



皇室に入るとそれまで勤めていた企業を退職する日本とは、ずいぶん違いますね。
「王族だから働けない」のではなく、公費をもらわない代わりに自分で稼ぐという選択肢が、制度としてきちんと用意されているわけです。
結婚に国王の承認は必要?|2013年の法改正で対象は「上位6人」だけに


ELLE girl
https://www.ellegirl.jp/celeb/g34260557/all-about-princess-eugenie-mrs-brooksbank-20-1005/
イギリスでは長らく、王族が結婚するときに君主の承認が必要でした(1772年王室婚姻法)。
ところが2013年王位継承法によってこの法律は廃止され、承認が必要なのは王位継承順位の上位6人だけになっています。
| 2013年王位継承法の3つの変更点 | 内容 |
|---|---|
| ①長子優先へ | 2011年10月28日以降に生まれた王族は、男女に関係なく生まれた順に継承(シャーロット王女が弟より上位) |
| ②結婚の承認 | 1772年王室婚姻法を廃止。国王の承認が必要なのは継承順位上位6人のみ |
| ③カトリック | カトリック教徒と結婚しても継承資格を失わなくなった |
出典:Succession to the Crown Act 2013(英国政府法令サイト)https://www.legislation.gov.uk/ukpga/2013/20/contents
出典:The Royal Family 公式サイトhttps://www.royal.uk/succession
現在9位のベアトリス王女、12位のユージェニー王女は、この6人の枠の外。



つまり法律上は、結婚に国王の承認が要らない立場ということになりますね。
イギリス王室と日本の皇室を比べると?


DIGhttps://newsdig.tbs.co.jp/articles/-/2886847
女性皇族は結婚後も残る。けれど、配偶者とお子様には身分を与えない——ここはイギリスとまったく同じ線引きです。
ただしイギリスには、2つのブレーキがセットで存在しています。
- 称号は夫や子に及ばない
- 公費で支える王族の範囲を絞る
日本が今回そろえたのは、このうち①だけです。
②の「公費の線引き」については、むしろ皇族費が増額される方向になっています。
愛子さまや佳子さまが結婚後も皇室に残られるなら、ご公務に同行される配偶者やお子様の費用、警備をどうするのか。



イギリスのワーキングロイヤル方式は、その答えを考えるうえで参考になりそうですね。
オランダの女性王族が結婚すると?


https://www.fujingaho.jp/culture/royal-family/a71115260/aikosama-nederland-260514/
オランダでも、女性王族は結婚した後も王族の身分や王位継承権を保持します。
ただし、王位継承権を保持したまま結婚するには議会の承認が必要です。



イギリスよりも条件がはっきりしているのが、オランダの特徴といえますね。
そして注目したいのが、「王室に残る」か「離れる」かを本人が選べるという点。
2026年7月に改正された日本の皇室典範にも、これとよく似た規定が盛り込まれました。
オランダは1983年から「男女問わず第一子が継ぐ」国
まず前提として、オランダの王位継承ルールを整理しておきましょう。
| 項目 | オランダのルール |
|---|---|
| 継承の順番 | 1983年から絶対長子相続(男女に関係なく第一子が継ぐ) |
| 継承権を持つ範囲 | 現国王から3親等以内の血族に限定 |
| 結婚の条件 | 議会(両院)の承認=法律による承認が必要(憲法第28条) |
| 承認なしで結婚すると | 王位継承権を失う(本人だけでなく、その子どもも) |
出典:Het Koninklijk Huis(オランダ王室公式サイト)「Troonopvolging」ttps://www.koninklijkhuis.nl/onderwerpen/koninklijk-huis/troonswisseling/troonopvolging
/国立国会図書館 調査及び立法考査局『各国憲法集(7) オランダ憲法』https://dl.ndl.go.jp/view/download/digidepo_8186538_po_201203c.pdf?contentNo=1



日本の皇室典範が「男系男子」と定めているのに対し、オランダは40年以上前に性別を問わない継承へ切り替えているんですね。
現在の王位継承順位も、上位3人はすべて女性です。
- 第1位:カタリナ=アマリア王女(国王の長女)
- 第2位:アレクシア王女(次女)
- 第3位:アリアーネ王女(三女)
議会の承認があれば、継承権を保持したまま結婚できる


https://www.elle.com/jp/culture/celebphotos/g45989196/catharina-amalia-album-231201/
オランダの女性王族が結婚するとき、進む道は大きく2つに分かれます。
| 議会の承認あり | 議会の承認なし | |
|---|---|---|
| 王女の称号 | 保持 | 保持 |
| 王位継承権 | 保持 | 喪失(子どもも継承権なし) |
| 所属 | 王家(Koninklijk Huis)の一員。公務を行う | 王家から外れる |
| お金 | 対象者は国家予算から手当を受け取る | 国家予算からの手当はいっさいなし |
議会の承認なしで結婚した場合、「王位継承権のない、公務を行わない王族」になります。
完全な一般人になるわけではありませんが、国からの経済的手当はいっさい受け取れないのです。
つまり、王位継承権を手放した王族は、一般企業などで働いて生計を立てることになります。



「王族の身分」と「王位継承権」と「公費」が、3つとも切り離されているのね!
実際に継承権を失った例|フリソ王子のケース



議会の承認がないと本当に継承権を失うの?
と思われるかもしれません。
実は、実例があります。
前女王ベアトリクスの次男・フリソ王子は、2004年に議会の承認を求めないまま結婚しました。
その結果——
- フリソ王子は王位継承順位から外れました
- のちに生まれた2人の娘にも継承権はありません
- ただし「オランダ王子」の称号自体は保持しました
さらに、マルフリート王女の息子たちも2005年の結婚の際に議会の承認を求めず、同じく継承権を失っています。
オランダのルールは、建前ではなく実際に適用されるということですね。
出典:オランダ王位継承順位https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AA%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%83%80%E7%8E%8B%E4%BD%8D%E7%B6%99%E6%89%BF%E9%A0%86%E4%BD%8D
夫が王子になった例・ならなかった例
王族の身分や王位継承権を保持したまま結婚した女性王族には、以下のような例があります。
| お名前 | 結婚時の身分 | お相手と、その後の身分 |
|---|---|---|
| ベアトリクス前女王 | 王女(王位継承順位第1位) | ドイツ人の元外交官クラウス氏と1966年に結婚。 夫にオランダ王子の称号と身分が与えられた |
| マルフリート王女 (ベアトリクス前女王の妹) | 王女(継承順位は下位) | オランダ王室の歴史において、初めて一般のオランダ人ピーター・ファン・フォレンホーフェン氏と1967年に結婚。 夫は一般人のまま |
夫の身分に差が生まれたのは、結婚前のお2人の立場が違ったからです。
出典:CNN.co.jp https://www.cnn.co.jp/world/35031515.html
ベアトリクス前女王の場合


https://www.instagram.com/p/DcS7ZkjFE1_/


https://www.cnn.co.jp/world/35031515.html
ベアトリクス王女は当時、継承権第1位でした。そのため、夫クラウス氏は将来王配になることが決まっていたのです。
ちなみに、クラウス氏はドイツ出身で第二次世界大戦中の経歴が問題視され、結婚当初は国内で激しい反対運動が起きています。
それでも誠実な人柄で信頼を積み重ね、最終的には国民から深く愛される王配になりました。
出典:mi-mollet https://mi-mollet.com/articles/-/50443
マルフリート王女の場合


https://www.25ans.jp/princess/catherine/a65576545/peter-phillips-250802/


https://mi-mollet.com/articles/-/50443
対して、マルフリート王女の夫・ピーター氏は一般人のままです。
マルフリート王女は、将来すぐに王位を継ぐ身分ではありませんでした。
そのルールが適用されたため、ピーター氏は王族にはなりませんでした。
一般人として王族を支え続けたピーター氏は、法学者・大学教授として活動しながら王室の行事にも参加し、国民から高い人気を得ています。
なお、マルフリート王女とピーター氏のお子様たちは、特例として「オランダ王子」の称号を与えられました。
ただし王位継承権はありません(前述のとおり、結婚時に議会の承認を求めなかったため)。
王室費をもらえるのはごく一部|アマリア王女は年2億円の手当を辞退
オランダで国から手当を受け取れる王族は、ごく限られています。
対象は、国王・王妃(王配)・前国王・そして18歳以上の王位継承者だけ。
王家の一員であっても、公務をしない王族に手当は出ません。
この点で話題になったのが、次期女王のアマリア王女です。
アマリア王女は18歳になる2021年、王位継承者として支給される年間約160万ユーロ(約2億円)の手当を辞退しました。
「学生である間、それに見合うことを何もしていないのに受け取るのは心地よくない」という趣旨の手紙を、首相あてに送っています。



「絞る」オランダと「増やす」日本。ずいぶん温度感が違いますね。
公費をもらう側から「見合っていない」と辞退したというのは、国民感情への配慮として非常に示唆的です。
同性と結婚しても王位継承権は失わない
もうひとつ、オランダらしい話題を。
2021年、当時のルッテ首相が議会で「国王や王位継承者が同性と結婚しても、王位継承権を失うことはない」と明言しました。
もちろん、この場合も議会の承認は必要です。
結婚相手の性別ではなく、議会=国民の代表が承認するかどうかで判断する。
オランダの制度の考え方が、よく表れている一件だと思います。
オランダ王室と日本の皇室を比べると?


https://news.yahoo.co.jp/articles/45988609978974847b6a9f87597e68d15924d2fb/images/000
| オランダ王室 | 日本(2026年の改正前) | 日本(2026年の改正後) | |
|---|---|---|---|
| 継承の順番 | 1983年から男女問わず第一子 | 男系男子のみ | 変更なし(男系男子のみ) |
| 結婚後の身分 | 保持(王女のまま) | 離脱(一般人になる) | 保持(内親王・女王のまま) |
| 離脱の可否 | 継承権を手放せば離れられる | 結婚=自動的に離脱 | 経過措置で選べる (今の女性皇族に限る) |
| 結婚の条件 | 議会の承認が必要。なければ継承権を失う | 女性皇族の結婚に国政の関与はなし | |
| 夫の身分 | 原則、称号なし(将来の王配は例外) | ―(女性皇族が離脱するため) | 皇族とならない |
| お金 | 国王・王配・前国王・18歳以上の継承者のみ | 皇族全員に皇族費 | 皇族費を増額 915万円→3050万円 |
※2026年7月17日に皇室典範が改正され、女性皇族は結婚後も皇族の身分を保持することになりました(配偶者とお子様は皇族となりません)。施行は公布から3か月後です。
オランダの仕組みで注目したいのは、「残る」か「離れる」かを本人と議会が選べる点です。
公務と手当を受け取って王家に残るか、継承権を手放して自由に生きるか。



どちらも制度として用意されているんですね。
日本にも「選べる」道が用意された
2026年7月の改正皇室典範には、経過措置が盛り込まれました。
施行の時点で皇族である女性は、その意思により皇族の身分を離れることができるという規定です。
愛子さまも佳子さまも、ご結婚に際して「残る」「離れる」を選べることになりました。



ご本人の意思が尊重されるという意味で、とても大切な規定ですね。
ただし、これはあくまで経過措置です。
施行後に生まれる女性皇族は、原則として結婚後も皇族であり続けることになります。
オランダでは、世代に関係なく「議会の承認を求めずに結婚する」という道が残されています。



この違いは、これから先の議論で効いてくるかもしれませんね。
お金の線引きは、まだこれから
もうひとつ、オランダと日本で大きく違うのが公費の考え方です。
オランダは手当の対象を「国王・王配・前国王・18歳以上の継承者」に絞りました。
対して日本は、独立の生計を営む内親王の皇族費が915万円から3050万円へ増額される方向です。
次期女王のアマリア王女が、年約2億円の手当を「見合っていない」と辞退したことを思い出してください。



公費の線引きという点では、オランダ型がもっとも参考になるモデルかもしれませんね。
ベルギー王室|長子優先に改正し、初の女王が誕生予定


https://www.25ans.jp/wedding/celeb/g64403561/belgiumroyals-250412/
ベルギーは、ヨーロッパでもっとも遅くまで「男系男子のみ」を守っていた国です。
その国が1991年に憲法を改正し、いまでは女性が王位継承順位第1位になっています。
日本も2026年7月に皇室典範を改正しましたが、皇位継承のルールは変えませんでした。



「どこまで変えるのか」を考えるうえで、ベルギーはもっとも参考になる実例といえますね。
1991年の憲法改正で「男女問わず長子が継ぐ」国に
ベルギーは1831年の建国以来、サリカ法(男系男子のみが継ぐルール)を採用していました。
そして1991年、憲法第85条が改正されます。
| 1991年の改正前 | 1991年の改正後(現在) | |
|---|---|---|
| 継承の順番 | 男系男子のみ(サリカ法) | 男女に関係なく第一子(絶対的長子継承制) |
| 継承権を持つ範囲 | ― | アルベール2世(前国王)の子孫に限定 |
| 女性の王位 | 不可 | 可能 |
出典:国立国会図書館 調査及び立法考査局「ヨーロッパ君主国における王位継承制度と王族の範囲」(レファレンス802号・2017年)https://dl.ndl.go.jp/view/download/digidepo_10990713_po_080201.pdf?contentNo=1/ベルギー王室公式サイトhttps://www.monarchie.be/
注目したいのは、ベルギーが160年続いたルールを1回の憲法改正で切り替えたという事実です。



「伝統だから変えられない」ではなく、「議論して決めた」という前例が、すぐ隣の国にあるんですね。
エリザベート王女は継承順位第1位|愛子さまと同い年


https://www.25ans.jp/princess/prince-princess/g90188/170531-90188/
改正の恩恵をまっすぐ受けたのが、フィリップ国王の長女・エリザベート王女です。
| お名前 | エリザベート王女(ブラバント公) |
|---|---|
| 生年月日 | 2001年10月25日(愛子さまと同い年) |
| 王位継承順位 | 第1位/ベルギー史上初の女王になる見込み |
| ご経歴 | 王立陸軍士官学校で軍事訓練を修了 → オックスフォード大学で歴史学と政治学を学び卒業 → 2025年からハーバード大学大学院(ケネディスクール)へ |
| 公務 | 18歳から公式行事に参加。国王の名代としての外国訪問も |
エリザベート王女は、下に弟が2人いらっしゃいます。



1991年の改正前であれば、弟のガブリエル王子が継承順位第1位になっていたということですね。
2001年生まれの王女が「未来の女王」として育てられている国と、同じ2001年生まれの内親王が皇位継承権を持たない国。
この対比は、日本でも度々報じられてきました。
2026年の改正で愛子さまはご結婚後も内親王のままとなりましたが、皇位継承権については変わっていません。
結婚には国王の同意が必要|同意がないと継承権を失う
ベルギーでも、王族の結婚には条件があります。
憲法第85条は、国王の同意を得ずに結婚した者は王位継承資格を失うと定めています。
ただし、オランダとは少し違う点も。
実際、フィリップ国王の甥にあたるアメデオ王子は、2014年の結婚の際に事前の同意手続きが取られておらず、継承権を失ったのではないかと騒がれました。
その後2015年に、国王が結婚を事後的に承認する勅令が官報に掲載され、継承順位に復帰しています。



「一度アウトでも、やり直せる」という設計になっているのね。
一般人と結婚した王女の子どもが「称号なしで王位継承権を持つ」
ここがこの記事でいちばんお伝えしたい部分かもしれません。
アストリッド王女の次女・マリア・ラウラ王女は、2022年に一般人のウィリアム・イズヴィ氏と結婚されました。
そして2025年1月、長男のアルベールくんが誕生します。
| アルベールくん(2025年1月生まれ) | |
|---|---|
| お名前 | アルベール・イズヴィ(父方の姓) |
| 王族の称号 | なし(ベルギー王家で称号を持たずに生まれた初めての子) |
| 王位継承権 | あり(2026年8月時点で継承順位上位10位以内) |
| 母(マリア・ラウラ王女) | 結婚後も王女の称号と継承権を保持 |
整理すると、こういうことです。
- 王女は一般男性と結婚しても王女のまま
- 夫は一般人のまま(称号なし)
- 子どもは称号なしだが、王位継承権はある
ベルギーは「称号(身分)は与えない、でも継承権は認める」という線引きを選んだわけです。
実は日本も、2026年7月の皇室典範改正で同じ問いに答えを出しました。
| 女性王族の子ども | ベルギー | 日本(2026年改正) |
|---|---|---|
| 王族・皇族の身分 | なし | なし |
| 王位・皇位継承権 | あり | なし |
「身分は与えない」という点では同じですが、継承権については正反対の判断になりました。
日本は女性皇族ご本人にも皇位継承権がありませんから、お子様に認めないのは筋が通っています。



それでも、「称号なしで継承権あり」という設計もあり得る——ベルギーはそれを実例で示しているんですね。
夫が「ベルギー王子」になったケース|アストリッド王女


https://www.be.emb-japan.go.jp/itpr_ja/news_250617.html
一方で、夫が王族になった例もあります。
フィリップ国王の姉・アストリッド王女は、1984年にオーストリア=エステ大公家のロレンツと結婚されました。
ロレンツはのちに「ベルギー王子」の称号を与えられ、お2人のお子様たちもベルギー王子・王女として王位継承権を持っています。
| お名前 | お相手 | 夫の身分 | お子様 |
|---|---|---|---|
| アストリッド王女 (フィリップ国王の姉) | オーストリア=エステ大公ロレンツ(1984年) | ベルギー王子の称号を取得 | ベルギー王子・王女/王位継承権あり |
| マリア・ラウラ王女 (アストリッド王女の次女) | 一般人のウィリアム・イズヴィ氏(2022年) | 一般人のまま | 称号なし/王位継承権あり |
お相手がもともと貴族・王族だったかどうかで、扱いがはっきり分かれていますね。
アストリッド王女は現在も第一線で公務を担い、ベルギーの経済使節団を率いて来日されたこともあります。
王女の称号を得ても、王位継承権はない|デルフィーヌ王女


https://madamefigaro.jp/culture/220731-princess-of-belgium/
ベルギー王室には、もうひとつ興味深いケースがあります。
2020年、アルベール2世前国王の婚外子であるデルフィーヌさんが、裁判の末に王女と認められました。
しかし——
- 「ベルギー王女」の称号は得た
- しかし王位継承権はない(継承権は嫡出子に限られるため)
ここでも「称号」と「王位継承権」がきれいに切り離されていることがわかりますね。
出典:AFPBB News「ベルギー国王、前国王の『隠し子』デルフィーヌ王女と初対面」
ベルギー王室と日本の皇室を比べると?


https://mainichi.jp/articles/20250822/k00/00m/040/078000c
| ベルギー王室 | 日本(2026年の改正前) | 日本(2026年の改正後) | |
|---|---|---|---|
| 継承の順番 | 1991年に男系男子→男女問わず第一子へ改正 | 男系男子のみ | 変更なし(男系男子のみ) |
| 結婚後の身分 | 保持(王女のまま) | 離脱(一般人になる) | 保持(内親王・女王のまま) |
| 結婚の条件 | 国王の同意が必要。なければ継承権を失う(議会の同意で回復可) | 女性皇族の結婚に国政の関与はなし | |
| 夫の身分 | 原則、称号なし(王族出身なら例外あり) | ―(女性皇族が離脱するため) | 皇族とならない |
| 子どもの身分 | 称号なし 王位継承権はあり | ― | 皇族とならない 皇位継承資格もなし |
| 継承権の範囲 | アルベール2世の子孫かつ嫡出子 | 皇統に属する男系男子 | |
※2026年7月17日に皇室典範が改正され、女性皇族は結婚後も皇族の身分を保持することになりました(配偶者とお子様は皇族となりません)。施行は公布から3か月後です。
ベルギーから学べるポイントは、大きく2つあります。
①「伝統」は変えられる
160年続いた男系男子のルールを、1回の憲法改正で切り替えました。
日本も2026年、皇室典範を改正して女性皇族が残る道を開いています。
ただし変えたのは「身分」の部分だけで、皇位継承のルールには手をつけませんでした。
どこまで変えるのか——その判断が、ベルギーと日本を分けたことになりますね。
②「称号」と「継承権」は別々に設計できる
夫には称号を与えず、子どもにも称号を与えず、それでも継承権だけは認める。
日本の改正法は、身分も継承資格も与えないという判断をしました。
どちらが良いという話ではありませんが、選択肢はひとつではなかったということです。
愛子さまと同い年のエリザベート王女は、今日も「未来の女王」として歩まれています。
同じ2001年生まれのお2人が、これからどんな道を進まれるのか。



ベルギーの動きからは、これからも目が離せませんね。
スペイン王室|女性が継承順位1位でも残る「男子優先」の壁


https://www.25ans.jp/princess/royal-family/a46110389/spanish-royal-christmascard-231213-hns/
スペインでも、女性王族は結婚した後も王女の身分と王位継承権を保持します。
次期国王も、フェリペ6世の長女・レオノール王女です。
日本と似た悩みを抱えているという意味で、いちばん共感しやすい国かもしれませんね。
スペイン憲法第57条は今も「男子優先」
スペイン憲法第57条は、王位継承について次のように定めています。
つまり、姉より弟が優先されるということです。
| スペイン | オランダ・ベルギー・イギリス | |
|---|---|---|
| 継承の順番 | 男子優先長子相続 (弟が姉より上位になる) | 絶対的長子相続 (男女に関係なく第一子) |
| 改正の時期 | 未改正 | オランダ1983年/ベルギー1991年/イギリス2013年 |
| 女性の王位 | 男子がいなければ可能 | 無条件で可能 |
レオノール王女には妹のソフィア王女がいらっしゃいますが、弟はいません。
もし今後、国王ご夫妻に男子が誕生すれば、レオノール王女は継承順位1位から陥落することになります。



(ご両親の年齢からいって、現実的な可能性は低いと見られていますが……)



「制度としては、まだ女性が最優先ではない」ということね。
なぜ改正されないのか。
王位継承の規定はスペイン憲法の中でももっとも改正手続きが重い部分に置かれており、両院の特別多数の賛成・議会の解散・国民投票といった段階を踏む必要があるためだと指摘されています。
「変えたほうがいい」という声はあっても、手続きのハードルが高くて動かない——これは日本の状況ともよく似ていますね。
レオノール王女は継承順位第1位|3年間の軍事訓練を修了
| お名前 | レオノール王女(アストゥリアス女公) |
|---|---|
| 生年月日 | 2005年10月31日 |
| 王位継承順位 | 第1位(法定推定相続人) |
| 軍事訓練 | 2023年8月に陸軍士官学校(サラゴサ)へ入校。海軍士官学校(マリン)、空軍士官学校(サン・ハビエル)と進み、2026年7月10日に3年間の訓練を修了 |
| 訓練の内容 | 海軍練習帆船での遠洋航海、練習機の単独飛行、パラシュート降下訓練。スペイン王室で初めて空挺徽章を取得 |
| 今後 | 2026年9月からマドリードのカルロス3世大学で政治学を専攻予定 |
スペインでは、国王は軍の最高司令官と憲法で定められています。
だから次期国王は、性別に関係なく3軍での訓練を受けるのですね。
愛子さまと4歳違いのレオノール王女が、戦闘機の操縦やパラシュート降下までこなして「未来の女王」として準備を進めている。
制度が「男子優先」のままでも、実際の育て方はすでに女性君主を前提にしているわけです。
結婚には国王と議会の承認が必要
スペインの女性王族が結婚するときのルールも見ておきましょう。
憲法第57条は、国王と議会(コルテス)が明示的に禁止した結婚をした場合、本人とその子孫は王位継承権を失うと定めています。
| 国 | 結婚に必要な承認 | 承認がない場合 |
|---|---|---|
| スペイン | 国王+議会(禁止されないこと) | 本人と子孫が継承権を失う |
| オランダ | 議会(法律による承認) | 本人と子どもが継承権を失う |
| ベルギー | 国王 | 継承権を失う(議会の同意で回復可) |
| イギリス | 国王(上位6人のみ) | 結婚が無効となる |
ヨーロッパの王室に共通しているのは、「結婚は自由。ただし継承権を持ち続けるなら国の承認が要る」という考え方ですね。
結婚後も「王女」のまま|エレナ王女とクリスティーナ王女


https://www.ellegirl.jp/celeb/a38903736/princess-christina-of-spain-divorce-22-0127/
フェリペ6世には、2人の姉がいらっしゃいます。
お2人とも一般人と結婚されましたが、王女(インファンタ)の身分と王位継承権を保持しています。
| お名前 | ご結婚 | 夫に与えられた称号 | 現在の継承順位 |
|---|---|---|---|
| エレナ王女 (長女) | 1995年、貴族のハイメ・デ・マリチャラル氏と結婚(2009年に離婚) | 夫妻にルーゴ公爵の称号 | 第3位 |
| クリスティーナ王女 (次女) | 1997年、ハンドボール選手のイニャキ・ウルダンガリン氏と結婚(2023年に離婚成立) | 夫妻にパルマ・デ・マヨルカ公の称号(一代限り) | 第6位 |
スペインでは、王女の結婚に合わせて夫妻へ公爵位が与えられるのが慣例でした。
ただしこれは「王族になる」のではなく、貴族の爵位が与えられるという形です。
お子様たちも王子・王女ではありませんが、王位継承権は持っています。



ここも、ベルギーと同じ「称号(身分)と継承権は別」という設計ですね。
称号は与えられ、そして剥奪もされる|クリスティーナ王女のケース
スペインの事例で、日本の議論にもっとも刺さるのがこちらです。
クリスティーナ王女の夫・ウルダンガリン氏は、公金横領などの疑いで捜査を受けました。
王女自身も脱税の疑いで裁判にかけられます(2017年に無罪判決)。
その渦中の2015年6月、クリスティーナ王女は「パルマ公爵夫人」の称号を剥奪されました。
王女自身が国王に爵位の返上を願い出る形が取られています。
そして夫のウルダンガリン氏は、禁錮6年3か月の有罪判決を受けて収監されました。
女性王族の配偶者が事件を起こしたとき、王室はどう対応するのか。
スペインは「称号を取り上げ、王室の公務から遠ざける」という形で答えを出しました。
日本でも、女性皇族が結婚後も皇室に残る場合、配偶者の言動や仕事をどう扱うのかが懸念点として挙がっています。



スペインの一件は、その懸念が絵空事ではないことを示していますね。
ちなみにフェリペ6世は2020年、父フアン・カルロス1世をめぐる資金疑惑を受けて、前国王への歳費支給の停止と、自身の相続資産の放棄を発表しています。
王室の信頼を守るためなら、身内に対しても厳しい線引きをする。
この姿勢が、スペイン王室の支持率回復につながったといわれています。
スペイン王室と日本の皇室を比べると?


https://www.yomiuri.co.jp/koushitsu/20260718-GYT1T00062/
| スペイン王室 | 日本の皇室(現行) | |
|---|---|---|
| 継承の順番 | 男子優先長子相続(未改正) | 男系男子のみ |
| 女性の継承 | 男子がいなければ可能 | 不可 |
| 結婚後の身分 | 保持(王女のまま) | 離脱(一般人になる) |
| 結婚の条件 | 国王と議会が禁止しないこと | 女性皇族の結婚に国政の関与はなし |
| 夫の身分 | 王族ではないが、公爵位が与えられる慣例 | ―(女性皇族が離脱するため) |
| 子どもの身分 | 王子・王女ではないが継承権あり | ― |
| 不祥事があった場合 | 称号の剥奪・公務からの排除という前例あり | 規定なし |
スペインから学べるポイントは2つです。
①「改正しにくい制度」は、議論があっても動かない
スペインは女性が継承順位1位でありながら、男子優先の条文をいまだに変えられずにいます。理由は、憲法改正の手続きが重すぎるからです。
対照的に、日本の皇室典範は「法律」でした。だからこそ2026年7月、憲法改正も国民投票も経ずに改正が実現しています。
制度を変えるハードルの高さが、そのまま結果を分けたわけですね。
②「残す」なら、退場のルールもセットで要る
女性王族が結婚後も残るなら、配偶者も一緒に王室に関わることになります。
そこで問題が起きたときにどう対処するか——スペインは称号剥奪という形で線を引きました。
日本の改正法では、配偶者とお子様は皇族になりません。その意味では、スペインより初めから距離が置かれた設計といえます。
ただし、ご公務への同行や警備、配偶者の仕事の扱いといった運用面のルールは、これから決まっていく部分です。
愛子さまや佳子さまが結婚後も皇室に残られるなら、入り口のルールと同じくらい、日々の運用のルールが大切になりそうですね。
スウェーデン王室|世界で初めて長子相続を導入した国


https://www.25ans.jp/princess/royal-family/a45491951/swedish-royal-familytree-231016-hns/
スウェーデンは、世界で初めて「男女に関係なく第一子が王位を継ぐ」制度を導入した国です。
その時期は、なんと1980年。



イギリスより33年も早いんですね。
そしてもうひとつ、スウェーデンには日本と正反対の悩みがあります。
1980年、世界初の絶対的長子相続へ|継承順位1位を失った王子
1979年、スウェーデン議会は王位継承法の改正を決議しました。
施行は1980年1月1日。性別に関係なく国王の第一子が王位を継ぐという、世界初の制度です。
この改正で、人生が大きく変わった方がいます。
| ヴィクトリア王女(姉) | カール・フィリップ王子(弟) | |
|---|---|---|
| 生まれ | 1977年7月14日 | 1979年5月13日 |
| 改正前 | 継承権なし(当時の制度では男子優先) | 誕生と同時に王太子=継承順位第1位 |
| 改正後(1980年〜) | 王太子=継承順位第1位 | 継承順位第2位へ |
カール・フィリップ王子は、生後わずか7か月で「未来の国王」の座を姉に譲ったことになります。
世界の王室史でも、これほどはっきりした例はほかにありません。



制度が変われば、継承順位もこれだけ変わるのね。
現在の王位継承順位も、ご覧のとおりです。
- 第1位:ヴィクトリア王太子(1977年生)
- 第2位:エステル王女(2012年生・ヴィクトリア王太子の長女)
- 第3位:オスカル王子(2016年生)
- 第4位:カール・フィリップ王子(1979年生)
母から娘へ。女性が2代続けて継承順位の上位を占めているのです。
ヴィクトリア王太子の夫は、ジム経営者から「王子」に


https://www.elle.com/jp/fashion/mariage/g26151068/swedenroyal-19-0200/
スウェーデンでも、王族の結婚には政府の同意が必要です。
同意なしに結婚した場合、本人もその子孫も王位継承権を失います。
そのうえで注目したいのが、ヴィクトリア王太子のご結婚です。
| ご結婚 | 2010年6月19日 |
|---|---|
| お相手 | ダニエル・ヴェストリング氏(フィットネスジムの経営者・パーソナルトレーナー) |
| 出会い | 王太子のトレーニングを担当したことがきっかけ |
| 結婚後の身分 | 「ダニエル王子・ヴェステルヨートランド公」の称号を取得 |
| 現在 | 王配として公務にあたる |
将来国王になる方の配偶者は王族に迎える、という考え方ですね。
この点は、オランダのベアトリクス前女王とクラウス殿下のケースとよく似ています。
マデレーン王女の夫は称号を持たない|「働き続ける」という選択
一方、末娘のマデレーン王女のケースはまったく違います。
マデレーン王女は2013年、アメリカ人投資家のクリストファー・オニール氏と結婚されました。
金融の世界でのキャリアを続けるためだと報じられています。
| ダニエル王子 (ヴィクトリア王太子の夫) | クリストファー・オニール氏 (マデレーン王女の夫) | |
|---|---|---|
| 結婚前の職業 | ジム経営者・トレーナー | 投資家 |
| 結婚後の称号 | 王子(ヴェステルヨートランド公) | なし(「オニール氏」のまま) |
| 王室公務 | 王配として従事 | 原則なし |
| お仕事 | 公務が本業 | 投資家として活動を継続 |
ここ、日本の議論にドンピシャで刺さる部分です。



日本では2026年の皇室典範改正をめぐって、「女性皇族が結婚後も残るなら、配偶者は一般企業で働けなくなるのでは?」「夫は無職になってしまうのでは?」という懸念が出ていました。
スウェーデンの答えは明快でした。
「王族の称号」と「経済的な自立」を本人が選べる——これがスウェーデン方式です。
ちなみに日本の改正皇室典範では、女性皇族の配偶者はそもそも皇族になりません。
選ぶ余地なく「一般国民のまま」ですから、制度上は働き続けられるはずですね。
オニール氏の例は、その先例といえます。
2019年、国王が孫5人を「王家」から外した
そしてスウェーデン最大のニュースが、これです。
2019年10月、カール16世グスタフ国王は孫5人を王家(Kungliga Huset)の一員から外すと発表しました。
| 対象となった5人 | 続柄 |
|---|---|
| アレクサンダー王子、ガブリエル王子 | カール・フィリップ王子(次男)のお子様 |
| レオノール王女、ニコラス王子、アドリエンヌ王女 | マデレーン王女(末娘)のお子様 |
では、この5人は何を失い、何を保ったのでしょうか。
| 2019年の決定後 | |
|---|---|
| 王子・王女の称号 | 保持 |
| 公爵・公爵夫人の爵位 | 保持 |
| 王位継承権 | 保持(現在も継承順位に名前があります) |
| 「殿下」の敬称 | なし |
| 公費(国からの支給) | なし |
| 王室公務 | 行うことは期待されない |
出典:CNN.co.jp「スウェーデン王室、国王の孫5人を王族から除外」(2019年10月8日)https://www.cnn.co.jp/world/35143676.html
マデレーン王女は「子どもたちにとって、一個人として自らの人生を築くチャンスが広がる」とコメント。
カール・フィリップ王子も「人生の選択がもっと自由になる」と歓迎しています。
これが北欧流の「王室スリム化」なんですね。
マデレーン王女は化粧品ブランドを立ち上げ|称号は使わない


https://www.elle.com/jp/fashion/celebstyle/g41605851/princessmadeleine-221017/
スウェーデン王室の「公私の切り分け」が、もっともよく表れた出来事を紹介します。
2025年3月、マデレーン王女は自身の化粧品ブランド「MinLen(ミンレン)」を立ち上げました。
そのとき王女は、Instagramでこう宣言しています。
これは私人としての活動なので、「MinLen」においてはマデレーン・ベルナドッテの名前を使用します
つまり、「ヘルシングランドおよびイェストリークランド公爵マデレーン王女殿下」という称号をビジネスに使わないと自ら決めたのです。
王族としての立場と、一人の起業家としての活動。
その線引きを、本人が引いているのがスウェーデンらしいところですね。
出典:madame FIGARO.jp「スウェーデンのマデレーン王女、自身の化粧品ブランドの立ち上げ時に『王室の称号は使わない』と宣言。」https://madamefigaro.jp/culture/250402-madeleine/
スウェーデン王室と日本の皇室を比べると?


https://www.instagram.com/p/DIFLSVozO71/
| スウェーデン王室 | 日本(2026年の改正前) | 日本(2026年の改正後) | |
|---|---|---|---|
| 継承の順番 | 1980年から男女問わず第一子(世界初) | 男系男子のみ | 変更なし(男系男子のみ) |
| 結婚後の身分 | 保持(王女のまま) | 離脱(一般人になる) | 保持(内親王・女王のまま) |
| 結婚の条件 | 政府の同意が必要。なければ本人と子孫が継承権を失う | 女性皇族の結婚に国政の関与はなし | |
| 夫の身分 | ケースによる 将来の女王の夫→王子/それ以外→称号なしも可 | ―(女性皇族が離脱するため) | 皇族とならない (選択の余地なし) |
| 公費の対象 | 公務を行う王族に限定(2019年に絞り込み) | 皇族全員に皇族費 | 皇族費を増額 915万円→3050万円 |
| 王族の仕事 | 民間で働く・起業することも可能 | 公務中心(民間就労の前例なし) | |
| 直面している課題 | 王族が多すぎる→スリム化 | 皇族が少なすぎる→数の確保 | |
※2026年7月17日に皇室典範が改正され、女性皇族は結婚後も皇族の身分を保持することになりました(配偶者とお子様は皇族となりません)。施行は公布から3か月後です。
面白いのは、スウェーデンと日本が正反対の方向に動いていることです。
スウェーデンは、公費で支える王族が増えすぎたので絞り込みました。
日本は、皇族が減りすぎたので増やす方向に舵を切りました。
ただ、向かう方向は逆でも、参考になる部分はあります。
①「称号を持つ人」と「公費をもらう人」を分ける
スウェーデンは、称号と継承権は残したまま、公費と公務だけを切り離しました。
日本の改正法も「女性皇族は残るが、配偶者とお子様は皇族としない」という形を選んでいます。発想としては近いですね。
違うのは、スウェーデンが公費の対象そのものを絞ったのに対し、日本は皇族費を増額する方向だという点です。
②配偶者に「働き続ける」選択肢を用意する
称号を受け取らなければ、これまでの仕事を続けられる。
日本の改正法でも配偶者は皇族になりませんから、制度上は働き続けられるはずです。
あとは、実際にどこまで自由が保たれるのか。スウェーデンのオニール氏の例は、その先例になります。



愛子さまや佳子さまが結婚後も皇室に残られるなら、お相手の人生をどこまで縛るのか。



制度はまりましたが、ここから先の運用にスウェーデンの選択肢が生きてきそうですね。
ノルウェー・デンマーク王室|女性王族の結婚と身分の今


ELLE
https://www.elle.com/jp/culture/maman/g61905106/all-about-martha-louise-shaman-wedding-24-0821/
北欧の2か国、ノルウェーとデンマークも女性が王位を継げる国です。
そして両国とも、女性王族の「身分」をめぐって近年大きな騒動が起きています。
とくにノルウェーは、2026年8月に国王が代替わりしたばかり。



いま、いちばん動きのある王室といえますね。
2026年8月、ノルウェーで国王が代替わり
2026年8月28日、ノルウェーのハラルド5世が89歳で亡くなりました。
ヨーロッパの君主としては最高齢。1991年から35年にわたって在位されました。
後を継がれたのが、長男のホーコン8世(1973年生まれ)です。
ご葬儀は2026年9月9日、首都オスロで営まれ、日本からは秋篠宮ご夫妻が参列される見込みとなっています。
詳しくはこちらの記事で


この記事では、ノルウェーの制度に焦点をあてて見ていきましょう。
ノルウェー|代替わりで「次代は女性」が確定した
ホーコン8世の即位により、王位継承順位も繰り上がりました。
| 順位 | お名前 | 続柄 |
|---|---|---|
| 第1位 | イングリッド・アレクサンドラ王女(2004年生) | 国王の長女 |
| 第2位 | スヴェッレ・マグヌス王子(2005年生) | 国王の長男 |
| 第3位 | マッタ・ルイーセ王女(1971年生) | 国王の姉 |
2004年生まれのイングリッド・アレクサンドラ王女が、王位継承順位第1位になりました。
このまま行けば、1905年にノルウェーが独立して以来、初めての女王が誕生することになります。
ここで大事なのは、弟のスヴェッレ・マグヌス王子が第2位にとどまっているという点です。



弟がいても、姉が先。それが1990年の憲法改正なのね。
ノルウェー|1990年に改正、でも「間に合わなかった」王女がいる
ノルウェーは1990年の憲法改正で、男女に関係なく第一子が王位を継ぐ制度に変わりました。
ところが、この改正には経過措置が付いていたのです。
| 生まれた時期 | 適用されるルール |
|---|---|
| 1970年以前 | 男子のみが継承資格 |
| 1971年〜1989年 | 男子優先 |
| 1990年以降 | 性別に関係なく長子優先 |
この線引きによって、運命が分かれた姉弟がいます。
| マッタ・ルイーセ王女(姉) | ホーコン8世(弟) | |
|---|---|---|
| 生まれ | 1971年9月22日 | 1973年7月20日 |
| 適用ルール | 1971〜1989年生まれ=男子優先 | |
| 2026年8月 | 継承順位第3位 | 国王に即位 |
2歳年上の姉が継承順位3位で、弟が国王。
つまりマッタ・ルイーセ王女は、「あと19年遅く生まれていれば女王だった」ということになります。
制度を変えるときに「いつから適用するのか」をどう決めるか。
日本の改正皇室典範も、まさにこの問題に経過措置で答えました。
施行の時点で皇族である女性は、その意思により皇族の身分を離れることができる



つまり愛子さまや佳子さまは選べますが、施行後に生まれる世代は原則として選べないということですね。
線引きの引き方ひとつで、人生が変わる。ノルウェーの姉弟が教えてくれることです。
ノルウェー|イングリッド・アレクサンドラ王女は「未来の女王」に


https://www.25ans.jp/princess/prince-princess/g38776039/royalkidsvol-220115/
| お名前 | イングリッド・アレクサンドラ王女 |
|---|---|
| 生年月日 | 2004年1月21日 |
| 続柄 | ホーコン8世の長女 |
| 王位継承順位 | 第1位 |
| 弟との関係 | スヴェッレ・マグヌス王子より上位 |
1990年より前のルールなら、弟のスヴェッレ・マグヌス王子が上位になっていました。
憲法改正から14年後に生まれたことで、王女は「未来の女王」になったのです。
愛子さまより3歳年下のイングリッド・アレクサンドラ王女。
日本でも2026年に皇室典範が改正されましたが、皇位継承のルールには手をつけていません。



ここは、これからも大きな違いとして残り続けますね。
ノルウェー|称号を持ったまま王室を離れたマッタ・ルイーセ王女


https://www.vogue.co.jp/article/princess-maertha-louise-of-norway-marries-durek-verrett
ここからが、日本の議論にいちばん近い話です。
マッタ・ルイーセ王女は1993年に作家のアリ・ベーン氏と結婚し、3人の娘をもうけました(2016年に離婚)。
その後2019年から、アメリカ人のデュレク・ヴェレット氏と交際を始めます。
ヴェレット氏は「シャーマン(霊能者)」を名乗る人物で、この交際はノルウェー国内で大きな議論を呼びました。
そして2022年11月、王女は王室の公務から退くことを発表します。
| 2022年11月の決定後 | |
|---|---|
| 王女の称号 | 保持 |
| 王位継承権 | 保持(現在も第4位) |
| 「殿下」の敬称 | 結婚により喪失 |
| 王室公務 | 引退 |
| 条件 | 王女の称号を商業活動に使わないこと |
注目すべきは、この「条件」です。
ところが2024年8月、ヴェレット氏との結婚式をめぐって騒動が起きます。
- 結婚式の報道権を販売し、海外メディアとNetflixだけに取材を許可
- ノルウェー国内メディアが締め出され、国民の反発を招く
- 記念の「ウエディング・ジン」のラベルに王女の称号を使用
ノルウェーメディアからは「合意違反ではないか」との批判が相次ぎました。
出典:AFPBB News「ノルウェー王女、シャーマンと挙式 王室の商業利用に批判も」(2024年9月3日)https://www.afpbb.com/articles/-/3536839
「王女」という称号には、それ自体に経済的な価値がある。
だからこそ、王室を離れるときに「使ってよい範囲」を決めておかないとトラブルになる。
日本の改正法では、女性皇族の配偶者とお子様は皇族になりません。
それでも「元・内親王のご家族」「皇族のご親族」という看板は、現実についてまわります。



この点についての具体的な規定は、改正法には置かれていません。今後の運用に委ねられた部分ですね。
デンマーク|2009年、国民投票85%の賛成で長子相続へ


FIGARO
https://madamefigaro.jp/lifestyle/220202-denmark/
続いてデンマークです。
デンマークは2009年、王位継承法の改正を国民投票にかけました。
| 改正の内容 | 男女に関係なく長子が王位を継ぐ(絶対的長子相続制) |
|---|---|
| 決め方 | 国民投票で賛成85% |
| 適用 | 法改正の成立後から(遡及なし) |
| 結婚の条件 | 国王および国務会議の同意が必要。同意なしの場合、本人と子孫が継承資格を失う |
デンマークで面白いのは、双子のケースです。
2011年に生まれたヴィンセント王子とヨセフィーネ王女は双子で、兄のヴィンセント王子が先に誕生しました。
それでも、2007年生まれの姉イサベラ王女のほうが継承順位は上です。
- 第1位:クリスチャン王太子(2005年生)
- 第2位:イサベラ王女(2007年生)
- 第3位:ヴィンセント王子(2011年生)
- 第4位:ヨセフィーネ王女(2011年生)
2024年1月14日にはマルグレーテ2世が退位し、フレデリック10世が即位されました。



その長女であるイサベラ王女も、しっかり継承順位2位に位置づけられているんですね。
デンマーク|女王が孫4人の称号を取り上げた2022年の決断


https://www.newsweekjapan.jp/articles/-/22738?display=b
そのデンマークで、王室を揺るがす出来事がありました。
2022年9月、マルグレーテ2世(当時女王)が次男ヨアキム王子の4人の子どもから「王子・王女」の称号を取り上げると発表したのです。
| 対象 | ヨアキム王子の4人のお子様(ニコライさん、フェリックスさん、ヘンリックさん、アテナさん) |
|---|---|
| 発効 | 2023年1月1日 |
| 失ったもの | 「王子」「王女」の称号 |
| 残ったもの | モンペザート伯爵・伯爵令嬢の称号/王位継承権 |
| 女王の説明 | 「王族の称号を持つことは、多くの責任や義務を伴う。将来的には、より少ない王族がそれを担うことになる」 |
出典:AFPBB News「デンマーク王室に亀裂、称号剥奪めぐり表面化」(2022年10月16日)https://www.afpbb.com/articles/-/3428704
この決定に、ヨアキム王子は強く反発しました。
「私たちはみな、とても悲しんでいる。自分の子どもたちが傷つくのを見るのは、決して気持ちのよいことではない」
「(発表の)わずか5日前に知らされた」
批判が高まり、女王は2022年10月3日に異例の謝罪をしています。
ただし、決定そのものは撤回しませんでした。
子どもたちが「王室の義務に煩わされることなく普通の生活を送れるように」というのが、女王の一貫した主張です。
北欧3国に共通する「王室スリム化」の流れ
スウェーデン・ノルウェー・デンマーク。
3か国とも、ここ数年で王族の範囲を絞る決断をしています。
| 国 | 時期 | 内容 | 称号 | 王位継承権 |
|---|---|---|---|---|
| スウェーデン | 2019年 | 国王の孫5人を王家から除外 | 保持 | 保持 |
| ノルウェー | 2022年 | マッタ・ルイーセ王女が公務から引退 | 保持 (商業利用は禁止) | 保持 |
| デンマーク | 2022年 (2023年発効) | ヨアキム王子の子4人の称号を変更 | 王子・王女→伯爵 | 保持 |
3国に共通するのは、次の3点です。
- 王位継承権はどのケースでも残している
- 減らしているのは「公費」と「公務」の対象
- 理由は税負担への配慮と、本人たちの自由



「王族を減らす」のではなく、「国民が支える王族を減らす」。
これが北欧流のやり方なんですね。
ノルウェー・デンマークと日本の皇室を比べると?


https://president.jp/articles/-/110338
ノルウェー・デンマークと日本の皇室を比べると?
| ノルウェー | デンマーク | 日本(2026年の改正後) | |
|---|---|---|---|
| 継承の順番 | 1990年から長子優先 (経過措置あり) | 2009年から長子優先 (国民投票で決定) | 男系男子のみ (改正でも変更なし) |
| 次の君主 | 女性(イングリッド・アレクサンドラ王女) | 男性(クリスチャン王太子) | 男性(秋篠宮さま) |
| 結婚後の身分 | 保持 | 保持 | 保持(改正で変更) |
| 結婚の条件 | 国王の同意 | 国王と国務会議の同意 | 国政の関与なし |
| 王室を離れる選択 | あり(称号は保持したまま公務を引退) | あり(君主の判断で称号を変更) | 経過措置で選べる (今の女性皇族に限る) |
| 称号の商業利用 | 制限あり(合意で禁止) | 規定あり | 規定なし |
※2026年7月17日に皇室典範が改正され、女性皇族は結婚後も皇族の身分を保持することになりました(配偶者とお子様は皇族となりません)。施行は公布から3か月後です。
この2か国から学べるポイントを、2つ挙げておきます。
①「制度をいつから適用するか」で人生が変わる
ノルウェーは経過措置を設けたため、1971年生まれのマッタ・ルイーセ王女は対象外になりました。
弟は国王、姉は継承順位3位。この差は、生まれた年だけで決まっています。
日本の改正法も経過措置を設けました。いま皇族である女性は選べて、これから生まれる世代は選べない——同じ構図です。
②「称号のブランド価値」をどう管理するか
ノルウェーは「称号を商業利用しないこと」を条件にしましたが、それでも争いが起きました。
日本では配偶者とお子様が皇族にならないぶん、この問題は起きにくいかもしれません。
それでも規定がまったくないという点は、頭の片隅に置いておきたいところです。



デンマークの国民投票で賛成85%という数字も、印象的ですね。
日本の改正は国会での議論を経て成立しました。国民投票は行われていません。
どちらが正しいというものではありませんが、これだけ大きな制度変更をどう決めるかという点で、考えさせられる数字です。
制度は違っても、王室と皇室のつながりは静かに続いています。



2026年9月9日にオスロで営まれるご葬儀に、秋篠宮ご夫妻が参列される見込みなのも、その表れですね。
ルクセンブルク・モナコ王室|小国の王室が選んだ道


ELLE
https://www.elle.com/jp/culture/maman/g69449316/henri-of-luxembourg-grandchildren-251117/
最後に、ヨーロッパの小さな2つの君主国を見てみましょう。
ルクセンブルクとモナコは、どちらも王族の人数が少ない国です。
だからこそ「継承者をどう確保するか」という問題に、日本よりずっと早く直面してきました。
日本が2026年の皇室典範改正で取り組んだ「皇族数の確保」。
その答えを、この2か国はすでに出しているのです。
ルクセンブルク|2011年、サリカ法を捨てて長子相続へ
ルクセンブルクは長いあいだ、男子を優先する継承制度を採用していました。
大公家の女性には、原則として継承権がなかったのです。
それが変わったのが2011年6月20日。
| 2011年の改正前 | 2011年の改正後(現在) | |
|---|---|---|
| 継承の順番 | 男子優先 | 男女に関係なく年長順 |
| 女性の継承権 | 原則なし | あり |
| 決め方 | ― | 大公の命による家憲の改正(憲法改正ではない) |
この改正で人生が変わったのが、アンリ大公の長女・アレクサンドラ大公女(1991年生まれ)です。
アレクサンドラ大公女は、20歳になるまで継承権を持っていませんでした。
2011年6月の家憲改正によって、はじめて継承権が付与されたのです。
「生まれたときは継承権がなかったのに、大人になってから与えられた」——。
実は、これと似たことが日本でも起きました。
2026年7月の皇室典範改正により、愛子さまと佳子さまはご結婚後も内親王のままでいられることになったのです。
お生まれになったときの制度では、ご結婚と同時に皇室を離れるはずでした。



制度が変われば、あとから立場が変わることもあるのね。
ルクセンブルク|2025年、大公が交代し5歳の継承者が誕生


https://www.elle.com/jp/culture/celebgossip/a71395687/luxembourg-royal-moving-260525/
ルクセンブルクでは最近、大きな節目がありました。
2025年10月3日、アンリ大公が退位し、長男のギヨーム5世が新しい大公に即位されたのです。
アンリ大公の即位から25年という節目での譲位でした。
| 退位 | アンリ大公(2000年即位)/2025年10月3日 |
|---|---|
| 新大公 | ギヨーム5世(1981年生まれ) |
| 新しい継承順位第1位 | シャルル大公世子(2020年生まれ・当時5歳) |
2020年生まれのシャルル大公世子は、ヨーロッパで最年少の王位継承者となりました。
ちなみに、ヨーロッパでは存命中の譲位が珍しくありません。
- オランダ:2013年(ベアトリクス女王 → ウィレム=アレクサンダー国王)
- ベルギー:2013年(アルベール2世 → フィリップ国王)
- スペイン:2014年(フアン・カルロス1世 → フェリペ6世)
- デンマーク:2024年(マルグレーテ2世 → フレデリック10世)
- ルクセンブルク:2025年(アンリ大公 → ギヨーム5世)
日本では2019年の上皇陛下のご譲位が「特例法」という形をとりました。



ヨーロッパでは、譲位はむしろ制度として当たり前になっているんですね。
ルクセンブルク|結婚後も「大公女」のまま


https://www.25ans.jp/princess/prince-princess/a60839575/luxembourg-princess-firstchild-240520-hns/
アレクサンドラ大公女は、2023年4月にフランス人のニコラ・バゴリー氏と結婚されました。
結婚後も「ルクセンブルク大公女」の称号と継承権を保持されています。
ご結婚のスタイルも印象的でした。
市民婚では白いパンツスーツを着用され、伝統にとらわれない装いが話題になったのです。
2011年に継承権を得て、2023年に結婚しても大公女のまま。



ルクセンブルクの女性王族は、制度改正の恩恵をまっすぐ受けているといえますね。
日本の女性皇族も、2026年の改正でご結婚後の身分を保持できるようになりました。
ただし皇位継承権については変わっていません。
「身分は残る、でも継承権はない」——ここがルクセンブルクとの違いです。
モナコ|双子でも「2分後に生まれた弟」が継承順位1位


25ヴァンサンカン
https://www.25ans.jp/princess/catherine/g42017602/monaco-221121/
続いてモナコ公国です。
モナコは、この記事で取り上げる国の中でもっとも「男子優先」がはっきり表れている国です。
2014年12月10日、アルベール2世公とシャルレーヌ公妃のあいだに双子が誕生しました。
| ガブリエラ王女 | ジャック公子 | |
|---|---|---|
| 誕生 | 先に誕生 | その2分後に誕生 |
| 公位継承順位 | 第2位 | 第1位 |
| 理由 | モナコの継承制度が男子優先だから | |
わずか2分の差と、性別。
この2つで、将来の君主が決まったわけです。
デンマークでは、2011年生まれの双子の兄ヴィンセント王子より、2007年生まれの姉イサベラ王女のほうが上位でした。



同じヨーロッパでも、制度によってここまで結果が変わるんですね。
モナコ|継承権を保つ条件がとくに厳しい
モナコの継承ルールは、ほかの国と比べても条件が細かく定められています。
| 条件 | 内容 |
|---|---|
| 血縁 | 君主またはその兄弟姉妹の子孫であること |
| 国籍 | モナコ国籍を持っていること |
| 両親の結婚 | 両親が君主の承認を得て結婚していること |
| 嫡出 | 婚外子は永久に継承権から除外 |
| 本人の結婚 | 君主の許可なく結婚すると継承権を失う (子がなく婚姻が終了した場合は回復の余地あり) |
実際、アルベール2世公には認知したお子様が複数いらっしゃいますが、婚外子であるため継承権はありません。
アルベール2世公の姉・カロリーヌ王女(1957年生まれ)は継承順位第3位。
妹のステファニー王女とそのお子様たちも同様です。



ここでも、ベルギーと同じ「称号は与えないが、継承権は認める」という設計になっているのですね。
モナコ|「跡継ぎがいないと国がなくなる」危機を制度で解決した
モナコには、ほかの国にはない切実な事情がありました。
1918年に結ばれたフランスとの条約には、こんな規定があったのです。
モナコの公位が空位になった場合、モナコは自動的にフランスの保護領になる
つまりモナコにとって、跡継ぎ問題は「国が消えるかどうか」の問題だったわけです。
そこでモナコは、2002年に大きな手を打ちます。
| 2002年の2つの改革 | 内容 |
|---|---|
| ①公位継承法の改正 | 継承権の範囲を君主の兄弟姉妹とその子孫にまで拡大 |
| ②フランスとの新条約 | 公位が空位でも保護領化される規定を撤廃。独立が明示的に保証された |
継承者の範囲を広げて「候補者を増やす」。



これは、日本で議論されている「皇族数の確保」とまったく同じ発想ですね。
モナコは直系だけでは足りないと判断し、範囲を横に広げました。
そして日本も2026年、同じように2本立ての手を打っています。
| 日本の2026年改正 | 内容 |
|---|---|
| ①女性皇族の身分保持 | 内親王・女王は結婚しても皇族の身分を離れない |
| ②養子制度 | 旧11宮家出身の男系男子を養子に迎えられるようにする |
とくに②は、モナコの発想にとても近いといえます。
養子ご本人に皇位継承資格はありませんが、その子孫の男子には資格があるとされました。



直系だけでは足りないので、外から迎え入れる——という考え方ですね。
ルクセンブルク・モナコと日本の皇室を比べると?


https://news.livedoor.com/topics/detail/32140717/
ルクセンブルク・モナコと日本の皇室を比べると?
| ルクセンブルク | モナコ | 日本(2026年の改正後) | |
|---|---|---|---|
| 継承の順番 | 2011年から男女問わず年長順 | 男子優先長子相続 | 男系男子のみ (改正でも変更なし) |
| 改正の方法 | 大公家の家憲を改正 | 公位継承法の改正 | 皇室典範(法律)を改正 2026年7月に成立 |
| 結婚後の身分 | 保持(大公女のまま) | 保持(王女のまま) | 保持(内親王・女王のまま) |
| 結婚の条件 | 大公の同意 | 君主の許可(なければ継承権喪失) | 国政の関与なし |
| 子どもの身分 | 大公家の一員 | 称号なしでも継承権あり | 皇族とならない 皇位継承資格もなし |
| 継承者確保の方法 | 女性に継承権を拡大 | 傍系(兄弟姉妹の子孫)まで拡大 | 女性皇族の身分保持 +旧宮家からの養子 |
※2026年7月17日に皇室典範が改正され、女性皇族は結婚後も皇族の身分を保持することになりました(配偶者とお子様は皇族となりません)。施行は公布から3か月後です。
この2か国から学べるのは、次の2点です。
①制度を変える「重さ」は国によって違う
ルクセンブルクは大公家の家憲を改正するだけで長子相続に切り替えました。憲法改正も国民投票も必要ありません。
一方スペインは、憲法の重い改正手続きがネックで、いまだに動けずにいます。
そして日本の皇室典範は「法律」でした。
だからこそ2026年7月、憲法改正も国民投票も経ずに改正が実現したのです。
制度を変える手続きの重さが、そのまま結果を分けたといえますね。
②継承者を増やす方法は「女性」だけではない
モナコは傍系まで範囲を広げることで、継承者不足を解決しました。
日本の2026年の改正も、実は2本立てです。
- 女性皇族が結婚後も皇族の身分を保持する
- 旧11宮家出身の男系男子を養子に迎えられるようにする
しかも養子については、本人に皇位継承資格はないものの、その子孫の男子には資格があるとされました。
「継承者の範囲を横に広げる」という点で、モナコの選択とよく似た発想ですね。
小さな国だからこそ、継承者の問題に真剣に向き合ってきた——。



その積み重ねが、日本の議論にもヒントをくれそうです。
ここまで、ヨーロッパ9か国の王室を見てきました。
それぞれ事情は違いましたが、並べてみると見えてくる共通点があります。
この章では、9か国の答えと2026年に成立した日本の改正皇室典範を、まとめて整理していきましょう。
海外王室と日本の皇室を比較|女性皇族の結婚後はどう変わる?
ここまで、ヨーロッパ9か国の王室を見てきました。
それぞれ事情は違いましたが、並べてみると見えてくる共通点があります。
この章では、9か国の答えと2026年に成立した日本の改正皇室典範を、まとめて整理していきましょう。
<一覧表>欧州9か国と日本の「女性王族の結婚後」
| 国 | 継承ルール (改正年) | 結婚後の身分 | 夫の称号 | 子どもの継承権 | 公費の対象 |
|---|---|---|---|---|---|
| イギリス | 長子優先 (2013年) | 保持 | なし | あり (称号なし) | ワーキングロイヤル |
| オランダ | 長子優先 (1983年) | 保持 | 原則なし | 議会の承認が条件 | 国王・王配・前国王・ 18歳以上の継承者のみ |
| ベルギー | 長子優先 (1991年) | 保持 | 原則なし | あり (称号なし) | 公務を行う王族 |
| スペイン | 男子優先 (未改正) | 保持 | 公爵位を授与 | あり (王子・王女ではない) | 国王一家に限定 |
| スウェーデン | 長子優先 (1980年・世界初) | 保持 | 選べる | あり | 2019年に絞り込み |
| ノルウェー | 長子優先 (1990年・経過措置あり) | 保持 | 原則なし | あり | 公務を行う王族 |
| デンマーク | 長子優先 (2009年・国民投票) | 保持 | 原則なし | あり | 2023年に絞り込み |
| ルクセンブルク | 長子優先 (2011年・家憲改正) | 保持 | 原則なし | あり | 大公家の一員 |
| モナコ | 男子優先 (2002年に範囲を拡大) | 保持 | 原則なし | あり (称号なし) | 公室の一員 |
| 日本 (2026年改正後) | 男系男子のみ (変更なし) | 保持 (経過措置で離脱も選べる) | なし (皇族とならない) | なし (皇位継承資格もなし) | 女性皇族本人 |



「結婚したら出ていく」のは、世界では当たり前じゃなかったのね……。
2026年7月、日本の皇室典範が改正された
ここで、日本の改正内容を確認しておきましょう。
| 法律名 | 皇室典範等の一部を改正する法律 |
|---|---|
| 成立 | 2026年7月17日(参議院本会議で可決) |
| 公布 | 2026年7月24日・法律第66号 |
| 施行 | 公布から3か月経過後 |
出典:皇室典範等の一部を改正する法律案|参議院/皇室典範改正の法案成立等についての会見|首相官邸https://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/kousei/gian/221/meisai/m221080221064.htm
改正の柱は、大きく4つです。
| 改正のポイント | 内容 |
|---|---|
| ①女性皇族の身分保持 | 内親王・女王は、天皇および皇族以外の男子との婚姻によって皇族の身分を離れない |
| ②経過措置 | 施行の時点で皇族である女性は、その意思により皇族の身分を離れることができる |
| ③配偶者と子の扱い | 女性皇族の配偶者と子は皇族としない(皇位継承資格もなし) |
| ④養子制度 | 旧11宮家出身で15歳以上、配偶者と子のいない男系男子が対象。養子本人に皇位継承資格はないが、その子孫の男子には資格がある |
出典:皇族数の確保は喫緊の課題 皇室典範等改正案を閣議決定|自由民主党https://www.jimin.jp/news/information/213701.html
附則には、30年ごとに制度を見直すという検討条項も盛り込まれました。



ちゃんと「離脱できる」道も残されていたのね!
海外王室に共通する3つの条件
ただし、どの国も「身分をそのまま保てる」わけではありません。
むしろ共通する3つの条件がセットになっています。
①結婚には国や議会の承認が必要
| 国 | 誰の承認が必要か | 承認がない場合 |
|---|---|---|
| オランダ | 議会(法律による承認) | 本人と子どもが継承権を失う |
| スペイン | 国王+議会 | 本人と子孫が継承権を失う |
| スウェーデン | 政府 | 本人と子孫が継承権を失う |
| デンマーク | 国王+国務会議 | 本人と子孫が継承権を失う |
| ベルギー | 国王 | 継承権を失う(議会の同意で回復可) |
| モナコ | 君主 | 継承権を失う |
| イギリス | 国王(上位6人のみ) | 結婚が無効となる |
| 日本 | 規定なし(女性皇族の婚姻に国政の関与はなし) | ― |
実際にオランダのフリソ王子は、2004年に承認を求めず結婚して継承権を失いました。
実際にオランダのフリソ王子は、2004年に承認を求めず結婚して継承権を失いました。
日本の場合、そもそも女性皇族に皇位継承資格がないため、この論点は生じません。
②夫や子どもに王族の称号は与えない
子どもに称号を与える国も、ごく限られています。
ベルギーのマリア・ラウラ王女のご長男(2025年1月あ生まれ)は、
ベルギー王家で称号を持たずに生まれた初めての子どもです。
それでも、王位継承順位には名前が載っています。
日本の改正法も、配偶者と子を皇族としない点はヨーロッパと同じ考え方です。
ただし皇位継承資格も与えない点で、ベルギーやモナコとは異なります。
③公費で支えるのは「公務を行う王族」だけ
そして最大の共通点が、お金の線引きです。
| 国 | 公費(手当)を受け取れる範囲 |
|---|---|
| オランダ | 国王・王配・前国王・18歳以上の王位継承者のみ |
| イギリス | 公務を行う「ワーキングロイヤル」 (ノンワーキングロイヤルは警備費も原則なし) |
| スウェーデン | 2019年に国王の孫5人を対象外へ |
| デンマーク | 2022年にヨアキム王子の子4人の称号を変更(2023年発効) |
| ノルウェー | 公務を引退したマッタ・ルイーセ王女は対象外 |
称号も王位継承権も残したまま、お金と公務だけを切り離す。



これが、税金で成り立つ王室を守るための知恵なのでしょう。
記憶に残る5つのケース
ここまで見てきた中から、とくに日本の議論に効いてくる5つの事例を振り返っておきましょう。
| 国 | できごと | 日本との関係 |
|---|---|---|
| ベルギー | 王女が一般人と結婚。 その子は称号なしで王位継承権あり(2025年1月誕生) | 日本は継承資格を与えない選択をした。 その違いは? |
| スウェーデン | マデレーン王女の夫は称号を受け取らず、投資家として活動を継続 | 日本の配偶者も皇族にならない。 働き続けられるということ |
| オランダ | 次期女王アマリア王女が年約2億円の手当を辞退(2021年) | 皇族費増額という日本の動きとの対比 |
| スペイン | 夫の事件を受け、クリスティーナ王女が公爵夫人の称号を剥奪(2015年) | 配偶者に問題が起きたときの備え |
| モナコ | 双子のうち、2分後に生まれた弟が継承順位1位(2014年) | 男子優先という制度が結果を左右するという現実 |
改正されても残る3つの論点
2026年の改正で、多くのことが決まりました。
それでも、9か国と比べてみるとまだ答えの出ていない部分が見えてきます。
①配偶者とお子様は「一般国民」のまま
改正法では、女性皇族の配偶者とお子様は皇族になりません。
この点自体は、ヨーロッパとほぼ同じ設計です。
ただ、そこから先の運用がまだ見えていません。
- ご公務に配偶者やお子様が同行する場合、旅費は誰が負担するのか
- 警備はどこまで付くのか
- 配偶者が民間企業で働く場合、どこまで制限があるのか
ウェーデンのオニール氏のように、称号を持たないからこそ自由に働けるという形になるのか。
それとも、事実上の制約がかかるのか。ここは今後の運用しだいですね。
②公費が絞られなかったこと
ここが、海外との最大の違いかもしれません。
| ヨーロッパ9か国 | 日本の改定後 | |
|---|---|---|
| 方向性 | 公費の対象を絞る | 皇族費を増額する |
| 具体例 | スウェーデン(2019年) デンマーク(2022年) ノルウェー(2022年) | 独立生計を営む内親王 915万円→3050万円 |
各国が公費を絞ってきた流れとは、正反対の動きになっています。
もちろん、日本は皇族の数が少ないという事情があります。



ただ「税金で支える範囲をどうするか」という説明は、丁寧にする必要がありそうですね。
③「選べる」のは、今の女性皇族だけ
改正法の経過措置により、施行時点で皇族である女性は、その意思で皇室を離れることができます。
愛子さまも佳子さまも、ご結婚に際して「残る」「離れる」を選べるということですね。
これは、ご本人の意思を尊重したとても大切な配慮だと思います。
ただし——この選択肢が用意されているのは、あくまで経過措置です。
ヨーロッパでは、世代に関係なく「離れる道」が制度として用意されています。
- オランダ:議会の承認を求めずに結婚すれば、継承権を手放して自由に生きられる
- ノルウェー:マッタ・ルイーセ王女は称号を保持したまま公務を引退
- スウェーデン:国王の孫5人が「公費と公務」から外れ、職業選択の自由を得た
次の世代の女性皇族が、同じように選べるのかどうか。



30年ごとの見直し条項が付則に入っているのは、こうした点を将来また考え直すためなのかもしれませんね。



今の世代は選べる。じゃあ、その先は?
日本には「変えやすい」という強みがあった
後に、今回の改正であらためて見えたことがあります。
それは、日本は制度を変えやすい国だったということです。
| 国 | 制度を変えるのに必要なもの | 結果 |
|---|---|---|
| スペイン | 憲法の重い改正手続き (特別多数+議会解散+国民投票) | いまだに改正できず |
| デンマーク | 国民投票 | 2009年に賛成85%で改正 |
| ベルギー | 憲法改正 | 1991年に改正 |
| ルクセンブルク | 大公家の家憲の改正のみ | 2011年にあっさり改正 |
| 日本 | 皇室典範(法律)の改正 | 2026年7月に成立 憲法改正も国民投票も不要だった |
日本の皇室典範は「法律」です。
だからこそ、国会での議論がまとまった2026年に、憲法改正も国民投票も経ずに改正できました。



スペインが「変えたくても変えられない」状態にあることを思えば、これは大きな違いですね。
制度は変わりました。



これから問われるのは、その制度をどう運用していくかです。
まとめ|女性皇族の結婚後の身分保持は海外王室が参考になる
| 論点 | ヨーロッパ王室の答え | 日本(2026年改正前) | 日本(2026年改正後) |
|---|---|---|---|
| 身分 | 9か国すべてで結婚後も保持 | 結婚により離脱 | 保持(内親王・女王のまま) |
| 離脱の可否 | 離れる道がある | 結婚=自動的に離脱 | 経過措置で選べる (今の女性皇族に限る) |
| 夫の身分 | 原則称号なし (将来の君主の配偶者は例外) | ― | 皇族とならない |
| 子どもの身分 | 称号なし。ただし継承権は認める国が多数 | ― | 皇族とならない 皇位継承資格もなし |
| お仕事 | 公務専従/民間就労・起業も選べる | 公務中心 | 公務は継続の見込み |
| お金 | 公費の対象を絞る方向 | 皇族全員に皇族費 | 皇族費を増額 915万円→3050万円 |
| 皇位継承 | 多くの国で女性も継承可能 | 男系男子のみ | 男系男子のみ(変更なし) |
2026年7月、日本の皇室典範が改正された
この記事を書いているあいだに、日本の制度が大きく動きました。
2026年7月17日、皇室典範等の一部を改正する法律が成立。
7月24日に法律第66号として公布され、公布から3か月後に施行されます。
| 改正のポイント | 内容 |
|---|---|
| ①女性皇族の身分保持 | 内親王・女王は、婚姻によって皇族の身分を離れない |
| ②経過措置 | 施行時点で皇族である女性は、その意思により皇族の身分を離れることができる |
| ③配偶者と子 | 皇族としない(皇位継承資格もなし) |
| ④養子制度 | 旧11宮家出身の男系男子が対象。養子本人に継承資格はないが、その子孫の男子にはある |
| ⑤見直し条項 | 附則に30年ごとの見直しを規定 |
愛子さまも佳子さまも、ご結婚に際して「残る」「離れる」を選べることになります。
ご本人の意思が尊重されるのは、いちばん大事なところよね。
調べてわかった、いちばん大きなこと
この記事では、ヨーロッパ9か国の制度を調べてみました。
いちばん驚いたのは、「結婚後も王族でい続ける」のは海外ではごく当たり前だったということです。
イギリス、オランダ、ベルギー、スペイン、スウェーデン、ノルウェー、デンマーク、ルクセンブルク、モナコ。
9か国すべてで、女性王族は結婚しても王女のままでした。
結婚によって身分を失う制度をとっていたのは、日本だけだったのです。
スウェーデンは1980年、オランダは1983年、ノルウェーは1990年、ベルギーは1991年、デンマークは2009年、ルクセンブルクは2011年、イギリスは2013年。
この40年で、ヨーロッパの王室は次々と制度を切り替えてきました。



そして2026年、日本もついに一歩を踏み出したことになりますね。
海外に共通する3つの「線引き」
ただし、海外の王室はただ身分を保持させているだけではありません。
どの国にも、しっかりした線引きがありました。
①夫や子どもに、王族の称号は与えない
一般人と結婚しても、夫が王子になる国はほとんどありません。
ただし子どもの王位継承権だけは認めるのが多数派です。
ベルギーでは2025年1月、称号を持たずに生まれた子が王位継承順位に加わりました。
日本の改正法も「配偶者と子は皇族としない」点は同じですが、皇位継承資格も与えない点が異なります。
②公費で支えるのは「公務を行う王族」だけ
オランダで手当を受け取れるのは、国王・王配・前国王・18歳以上の継承者のみ。
スウェーデンは2019年に国王の孫5人を、デンマークは2022年にヨアキム王子の子4人を、公費の対象から外しました。
称号も継承権も残したまま、お金と公務だけを切り離すやり方です。
③結婚には国や議会の承認が必要
承認がなければ、王位継承権を失います。
オランダのフリソ王子は2004年、実際に継承権を失いました。
「結婚は自由。ただし継承権を持ち続けるなら国の承認が要る」という考え方ですね。
心配されていたことは、こう決まった
改正前に挙がっていた懸念点を、海外の答えと並べてみましょう。
| 心配されていたこと | 海外での答え | 日本の改正法 |
|---|---|---|
| 配偶者は皇族になるの? | ほぼすべての国で称号は与えない | 皇族とならない |
| お子様に皇位継承権はあるの? | ベルギー・モナコなど称号なしでも継承権を認める国が多数 | 継承資格なし |
| 配偶者は無職になるの? | スウェーデンのオニール氏は称号を受け取らず投資家を継続 | 皇族でない以上、働けるはず(運用しだい) |
| 公務に同行する配偶者の旅費は? | 公費の対象は公務を行う王族のみと明確に区切られている | 今後の課題 |
| 本人が望めば離脱できるの? | 離れる道が用意されている | 経過措置で可能 (今の女性皇族に限る) |
多くの心配は、条文としての答えが出ました。



残っているのは、「実際にどう運用するか」という部分ですね。
お金の方向だけは、海外と正反対
一方で、気になる点もあります。
ヨーロッパ各国が公費の対象を絞ってきたのに対し、日本は皇族費を増額する方向です。
愛子さまと佳子さまが「独立の生計を営む内親王」になれば、それぞれ915万円から3050万円へ。
おひとりにつき2135万円、2人で年間4270万円の増額となります。
ここで思い出したいのが、オランダのアマリア王女です。
次期女王のアマリア王女は18歳になった2021年、
年間約160万ユーロ(約2億円)の手当を辞退しました。
「学生である間、それに見合うことを何もしていないのに受け取るのは心地よくない」という趣旨の手紙を、首相あてに送っています。
財源が税金である以上、国民の納得は欠かせません。
「なぜ増額が必要なのか」という説明を、丁寧にしていく必要がありそうですね。
「選べる」のは、今の世代だけ
もうひとつ、心にとめておきたいことがあります。
本人の意思で皇室を離れられるのは、あくまで経過措置です。
施行後に生まれる女性皇族は、原則として結婚後も皇族であり続けることになります。
ヨーロッパでは、世代に関係なく「離れる道」が制度として用意されています。
ノルウェーのマッタ・ルイーセ王女は称号を保持したまま公務を引退しましたし、スウェーデンの国王の孫5人は職業選択の自由を得ました。
次の世代の女性皇族が、同じように選べるのかどうか。
附則に30年ごとの見直し条項が入っているのは、こうした点を将来また考え直すためなのかもしれませんね。
愛子さまと佳子さまのこれから
愛子さまと同い年の、ベルギーのエリザベート王女。
2001年生まれのお2人は、まったく違う道を歩まれています。
| エリザベート王女(ベルギー) | 愛子さま(日本) | |
|---|---|---|
| お生まれ | 2001年10月25日 | 2001年12月1日 |
| 継承順位 | 第1位(次期女王) | 皇位継承権なし |
| 結婚後 | 王女のまま | 内親王のまま(2026年改正) ただし離脱も選べる |
この違いを生んだのは、1991年にベルギーが憲法を改正したからにほかなりません。
そして日本も2026年、皇室典範を改正しました。
皇位継承のルールは変わりませんでしたが、女性皇族が結婚後も皇室に残る道は開かれたのです。
これから問われるのは、こうした点でしょう。
- ご公務に同行する配偶者やお子様の費用や警備を、どう扱うのか
- 増額された皇族費について、どう説明していくのか
- 次の世代の女性皇族にも、選択肢を残せるのか
ヨーロッパ9か国が積み重ねてきた答えは、これからの運用を考えるうえでも大きなヒントになります。
愛子さまと佳子さまが、これからどんな道を選ばれるのでしょうか。










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